ファンリビのサービス終了のことを考える

 

初日から遊んで最終日の終わりまで見届けた1ユーザーの感想です。
ちまたで話題になってる動画に触発されたわけではありませんが(ていうか問題のやつ見てない)、出すならこのタイミングかな…と思ったので。

「ファンタジア・リビルド」とは

リナや相良宗介の夢の共演はサービス終了後も永遠に。『ファンタジア・リビルド』オフライン版発表
ファンタジア文庫の人気キャラがクロスオーバーするRPG『ファンタジア・リビルド』が、2021年12月17日をもってサービスを終了すると発表されました。
公式サイト消えるの早すぎるんだよなあ……

富士見ファンタジア文庫の歴代人気作品がクロスオーバーする、ソーシャルゲーム作品。スマホ/PC用のアプリが2020年12月から2021年12月までのぴったり1年間配信されていました。メインストーリーは初期に発表された13作品を中心に構成されており、イベント限定で散発的に参戦作品が増えたりしました。ストーリーについては別で感想を書いているのでよければこちらを御覧ください(終章の感想書きそこねたな……)
ストーリー感想 : 序章~World02 World03 World04 World05 イベント

ノベルゲーム形式のメインストーリーにバトルがついた、有名な所だとFGOに近いゲームシステム。というかUI部分などは概ねFGOのパクリなどといわれておりおおむねそこは擁護のしようがないのですが、個人的にはストーリーはクロスオーバーものとしてはかなり面白く(個人差はあると思いますが)、戦闘部分も戦い方がわかれば周回部分はオート戦闘で手を抜きつつ高難易度では戦略的なバトルも楽しめるもので決して駄目な所ばかりではなかったと思います。

★個人的に良かった所

シナリオが面白かった!!!
駄目なソシャゲを擁護してるやつらみんなシナリオが良いとかいう~みたいな話がツイッターでちょっと前に流れてきましたけど本当にシナリオが良かったんですよ!!!人によって好き嫌い分かれるとは思いますが!!!参戦作品が全部KADOKAWA(旧富士見書房系列)版権の作品であるが故に遠慮のないクロスオーバーが展開されてるのも良かった。戦闘開始・終了時などに作品の垣根を超えた掛け合いが発生するのも楽しい。個々の部分を見ると結構アラがあったり、気になる部分もあったんだけど、全体で見たらとても良質なクロスオーバーだったと思う。この辺はシナリオを読んでくれとしかいえないので本当にシナリオ集やノベライズの発売を強く希望したい。サービス終了が決まって明らかに回収しきれなかった伏線や、まるごと当番回がカットされた作品等が存在するのでそういうところもどういう予定だったのかなんか箇条書きとかでいいから教えて欲しい。

各作品の設定の見せ方が凄くうまくて、ゲームをプレイしていると自然に原作が気になる作りになってるのは本当に良かったと思う。特定作品目当てでゲームを初めて、他作品に触れているユーザーをちょくちょく見たし私も結構読んだり観たりしたので。「伝説の勇者の伝説」の原作が気になりすぎたのはどうかんがえても打ち切りエンドで当番回がカットされた結果な気がしているのでアレでしたが……。

「デート・ア・ライブ」の橘公司先生、「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」の羊太郎先生、「ゲーマーズ!」の葵せきな先生をはじめとして富士見の第一線で活躍されている先生たちがシナリオを担当されてるのも良かった。ゲームのエンディングスタッフロールを見ると「まぶらほ」の築地俊彦先生など、公式に記載されていない先生の名前もあったので結構いろんな富士見の作家さんが関わっていらっしゃったのかな。

理解できれば、奥深いバトルシステム
イベント周回はオートバトルで手を抜きつつ、手動にすればかなり奥深いシステムで理解出来ると凄く面白かった!ターン開始直後であればフロントと控えを入れ替えられるシステムが特徴的で、ある程度配置を工夫する必要がありますがパーティとして選択したメンバー全員を出したり引っ込めたりして能動的に使うことができる仕組み。低レアの支援キャラが良い仕事をしたり、火力特化の全体必殺キャラを殺さずにピンポイント起用したり、フロントで稼いだNPを控えに回して必殺技で殲滅!とか、敵の必殺ターンにわざと控えに置いたタンクに切り替えてピンチを凌ぐ!みたいなこともできて、理解できると本当に奥深いシステムでした。

まあ私の場合戦闘システムがちゃんと理解できたの、サービス終了決まってからなんですが。悲しい……。

★じゃあ何が駄目だったのか

色々書いたけどなんだかんだで「最後まで重たかった」が一番問題だった気もしますがそれは置いておこう。いやでも本当に重たかったよ。初期のPCアプリとか起動に数十分かかったもんな。

各所で見え隠れする、某有名ソシャゲクローンの闇
個人的にはUIがFGOのパクリっていうよりも初期の構想段階とかでFGOを安易に参考にした結果、ファンリビのゲーム側に合わずに機能不全になってる部分が複数あることに問題を感じていました。特にヤバかったのは恒常ガチャの天井がFGOと同じ完凸後にダブりを10体以上引かないといけないという無記名霊基システムで実質青天井状態だったこと。流石にガチャが回らなかったのか途中からイベント限定ガチャなどには普通の天井が実装されましたが、恒常ガチャの無記名霊基システムは一度実装してしまった以上引っ込みがつかなかったのか、サービス終了まで改善されないままでした。サービス終了前に限定キャラのみ排出されるガチャが登場してそちらは250連回せば好きな限定★5キャラを天井出来たけど恒常ガチャは250連しても★5確定チケしかなくて、恒常キャラのほうが入手難易度高くなってたの笑……えなかった。

その他、「限界突破素材が曜日日替わりでドロップ率が著しく低い」「イベント交換のフラグメント(礼装)を完凸するのにフリクエでのドロップが必須になっている」「ガチャが美味しくない」などの問題も存在し、正直UIがFGOのパクリなんて表面的な問題よりも圧倒的にこちらのほうがキツかった気がしています。限界突破やスキル上げに必要な素材がそれでさえ足りないのに、何故か章をクリアする毎に3種類ずつ新素材が追加されていくのに至ってはなんでそんなところ参考にしちゃったんだって気持ちが凄い。なお、必殺技(宝具)演出をスキップ出来ないのも同じですが、こちらはオートバトルがある分そこまで気にならなかったな……。レゾ(FGOにおけるカレスコ)の排出確率が他の★5の半分に絞られてたのはマジでどうして。

ただ、UI部分はどうしてもわかりやすいので、プレイしていないユーザーに画面を見せると「そのゲームまだ変わってないんだね」みたいな反応されたので、改善してますよという意思表示的な意味でもUIの刷新は出来ればやったほうが良かったとは思います。ただ、そこに工数割くならもっと他に改善して欲しいところがあったのもまた事実で。オートバトルのシステム改修とか、混成世界探訪クエストの「育成」マップ追加によって育成がしやすくなったりとか、限定だけでも天井がついたりとか、改善された点も結構あったんですが……。

チュートリアルが足りてなかった(気がする)
私も1年前にやったきりでちゃんと覚えていないのでちゃんと説明されてる可能性もあるのですが、前述の通りUIがFGOにそっくりな上になんとなくFGOの知識でもバトルが出来てしまう上にチュートリアルが必要最低限しかない故に、ファンリビ独自のバトルシステムがちゃんと説明を読まないとよくわからないという問題点がありました。あった気がします。なにかで検索したときに「チュートリアルが少ないのでリセマラしやすい!」とかいわれてたから多分そう。

これはめちゃくちゃ個人的な話になるのですが、ファンリビのバトルシステム、一定条件を満たせば随時バトルメンバーの入れ替えを行うことが出来るという独自のシステムがあり、更にバトル中に獲得した「スフィア」というアイテムを使って控えのキャラに必殺ゲージを渡すことが出来ました。そのスフィアの見た目がどうみてもFGOのスターだったため、半年くらいずっと使い方が理解できていませんでした。なんかこういう説明が足りてない部分が多く(もちろんちゃんとヘルプを読めば解説があるのですが、殆どの戦闘はオートバトルで足りてしまうので……)、戦闘システムを理解できればなかなか奥深いシステムなのですが、何も考えずに遊んでるとFGOのバトルシステムの劣化版に見えてしまうのでマジでもったいない。

逆に、FGOプレイヤー以外は「FGOをやっていれば感覚で理解できる」部分が理解できてないみたいな印象あったので、本当にリセマラ時間が長くなってもいいからチュートリアルはしっかり作るべきだったと思うよ……。

参戦作品の扱いに差がある
おおむねこれが本題。ファンリビ、クロスオーバーものとしては真面目すぎるくらいにしっかりと時系列が組み立てられていたようで、メインストーリーに今後登場する予定のキャラクターは一部を除きイベントにも出てこないという縛りが存在しました。

その結果、メインストーリー終盤に出てくる予定の作品群は基本的にはイベントにも出番がなく、一方で序盤から登場している作品のキャラクター達の出番はやたらと多い状態に。使い勝手の良いキャラクター(グレン等)などは数イベント出ずっぱりになったり。その上、期間限定イベントの中での出来事が本編の時系列の前段階として組み込まれてしまっており、これは後からプレイする新規ユーザーは話がわからなくない?となる部分も多々。復刻した際にイベントテキストが常時参照出来る状態になるのかなとか想像してましたが結局復刻するまえにゲームが死んだのでそのへんの真意はわからずじまいでした。空戦魔道士や伝勇伝や35小隊など★5キャラがひとりも実装されないままサービス終了を迎えた作品も多々ありましたし、サービスが何年も続いていれば最終的に各参戦作品の出番がほぼ均等になっていた可能性も否定はできませんが、出番が回り切る前に終わってしまったのがとにかく無念。

何度もいいますがシナリオそのものは物凄く良かったと思うのですが、それはそれとして特定作品目当てでゲームを遊ぶと一部作品のファンを除くと物足りず、ファンタジア文庫全体のクロスオーバーを期待してゲームを遊ぶと参戦作品が少なすぎる……みたいなどっちにも美味しくない状態になっていたと思うのですよね。この辺はクロスオーバーものの作品が持つ共通の悩みだとは思うのですが、よくも悪くも「話は良いので課金したいけど推し作品の出番が少なすぎてガチャ回しようがない」みたいな話よく聞いたので……。

じゃあどうしたら良かったのか……という妄想

完全に割り切ってメインストーリーとイベントシナリオの時間軸を曖昧にしてしまう(それこそFGOとかがそうですが案外問題は発生していない気がする)とか、どうしても時系列を厳守したいならサービス開始時にとりあえず参戦作品すべてをシナリオに出しておく、くらいの何かは必要だったんじゃないかなと思ってます。最初に用意するテキスト増えちゃいますが、参戦作品を2~3作品ずつに分けて分岐ルート4つくらい作って追加配信分のストーリーで後から合流させるとか……(某スパロボソシャゲのシステムがこうだったんですが、クロスオーバーソシャゲの参戦作品出番不均等問題への回答としてはあれおおむねベストの答えだと思ってるので……)

それでイベントには単発でアニメ化決まった作品とか周年イヤーのレジェンド作品とか富士見が今推したい作品をどんどん参戦させて、最近の作品のファンを引っ張ったりゲームユーザーにプレゼンしたり……みたいなことができればレーベルとしてもWin-Winだったと思うんですよ……アニメ化作品がリアルタイムで参戦できればアニメの間にCMとかも入れられたでしょうし、新作のPV取ったときについでにファンリビの音取りして新作のキャラは配布してガチャは既存作品から出してアピールするとか。サービスが軌道に乗れば他ラノベレーベル作品とのコラボの道とかもあったかもしれませんし、密かにそういうのも期待していたので本当に残念でなりません。

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