実写版「ぐらんぶる」見た

 


金曜日に「ぐらんぶる」の実写映画を見てきました。
原作の展開を大胆に改変(というか本筋はかなり別物)しつつも原作のテイストは忘れない、「全然別物なんだけどたしかに『ぐらんぶる』だった」みたいな気持ちになる不思議な映画でした。色々ツッコミどころは多かったですがとても面白かったです。

明るく楽しい「孤島ホラー」

あらすじ
青い海、聞こえてくる潮騒、照り付ける陽射し――国内でも珍しい離島にある大学に入った伊織の目標はただひとつ。それは気のあう友人や可愛い女子と<キラキラな大学生活>を送ること。なのに――「何かおかしい」最初に異変を感じたのはオリエンテーションの朝。伊織はなぜか服も記憶もなく大学の講堂の前で目覚めてしまう。やがて同じ境遇に陥った無駄にイケメンなアニメオタク・耕平と出会い、共にある場所にたどり着く。そこは常識が通用しない“無法地帯”、超ぶっ飛んだダイビングサークルだった!(公式サイトより引用)


原作と違うところを挙げ始めるとキリがないんだけど、一番の違いはやはり舞台が離島の大学になったことでしょうか。原作では沖縄に行ったりキャンプに行ったり海外に行ったりはたまた耕平の趣味に付き合って秋葉原に行ったり…と案外移動の多い本作ですが、舞台が離島になったことで大概の需要は島で満たせるという大変エコな展開に。というか移動しないどころか一度入ったら出られないまである。

原作第一話の、翌朝気づいたら大学のキャンパスで全裸で目覚めるところが延々と繰り返されて原作を知らないとまるでループミステリーみたいになってたり、普通のキャンパスライフを求めて島を脱出しようとしたら漁師のオッチャンたちが全員サークルのOBで脱出を阻止されたり、ループしてる間に気づけばサークルの野球拳ダンスに体が勝手に反応するように洗脳されてたり…と、ストーリーは始終ギャグで笑いのたえない映画なのですが冷静に考えると結構怖い。酒で気分がハイになってる間にむき出しの狂気を摂取させられている感じがあります。


ていうか、うっかり足を踏み入れた孤島で異常な風習の男たちに洗脳されて脱出できないってひょっとして孤島ホラーでは!?エロ漫画とか双葉社Web原作あたりのサイコホラーでちょくちょく見る文脈では?(軽率に「ホラー」とか言っていいのかとおもってたけどツイッターでも「明るいミッドサマー」とか言われてるのがバズってたので間違ってないんだろう多分)

オチもダイビングの映像綺麗だし伊織と耕平の友情にニヤニヤするしちょっと感動するエピソードもあってほっこりするんですが冷静に考えるとその展開怖くない!?騙されねえぞ!!!!!

狂気・全裸>酒・キャンパスライフ +ダイビング

原作だと酒>>>全裸>大学生活>ダイビングって感じですが大学生活はばっさりと切り落とされ(辛うじて山本と野島はちょっとだけ出てくる)、流石に「20歳」と注釈をつけても厳しかったのか無茶な飲酒シーンも大幅にカット。その代わりにジュノンボーイとパリコレモデル、そして「美ボディを集めてほしい(パンフレットより抜粋)」という言葉で集められた肉体美が自慢のキャストたちの全裸(半裸)で踊り狂うメキシカン野球拳ダンスがこれでもかとばかりに挿入されている。
↓こういうやつです。本当に暇があればこれ踊ってたな。



原作者の美少…井上堅二先生(美少女)も実写化にあたって「イケメンの全裸が見たい!」とコメントされていたし我々もtwitterで符丁として「イケメンの全裸を観に行く」などと言っていたけどもうその言葉に恥じないほどのイケメンの全裸を見ました。もう一生分のイケメンの全裸を見た気がします。美少女先生も喜んでるとおもう。イケメンの全裸が見れて。

ところで序盤のループ展開、大量のモブの中でイケメン俳優さんふたりが全裸で逃げ回るシーンとかぽろり的な意味で大丈夫だったんですかね?エッチとかいうより見えそうでハラハラした。モブだけ後から合成とか出来るんかな。あと伊織の叔父をやっていた高嶋政宏が紫色のパンツ一枚で踊るシーンがあまりにもつよかったです。大御所俳優になんてことを。

飲酒のシーンはやたらとスポドリにアルコール(多分スピリタス)が仕込まれてる以外は本当に飲んでるシーンそのものは控えめだったなとおもうのですが、個人的にはその分やたらと口の中に含んだ飲み物を噴き出すシーンが多かったのでそこだけはちょっと苦手感ありました。いやまあほんと凄いタイミングで噴けるもんだな……とはおもうんですけど……。

原作サイドから「ここだけは真面目にやってほしい」と注文があったらしいダイビングシーンは本当に美しい海の映像がいっぱいで、伊織達の悪ふざけになりすぎない掛け合いも楽しく、大変良かったです。パンフレットを見るとダイビングシーン専門の監督がいたり、スタントを使わないためキャストさん達にライセンスを取得してもらったり…と本当に力の入った映像なんだなということがわかり、そこもとても良かったです。大変良かったんですが本作の8割くらいが狂気の酔いどれ全裸祭りなので突然ダイビングのシーンになると違和感があったことは拭えない。

ダイビングのシーンになると唐突に狂気が抜けるのが一周回って面白かった。

原作とぜんぜん違うけど確かに「原作」のテイストを感じさせる作品

古手川姉妹が原作以上に凶暴に描かれていたり、千紗はあの展開でどうやってミスコン1位獲ったの!?とか、離島なのに大学2つもあるの!?とか色々ツッコミどころは多かったのですが「ぐらんぶる」という原作の根っこはそのままに映像化するにあたってギリギリまでやりたい放題やりました!!!という展開でとても楽しかったです。

あと、原作ギャグの再現度が半端なく高かったなあと。伊織が野球拳で「早く俺のご立派様をお見せしたいです!!!!!」というシーンがまさに原作そのままの構図・顔面でお出しされるの面白すぎるし、公式がPVで出してきた「ハンドサイン大喜利」とか何度見ても笑ってしまうのですが、ライセンス講習の特訓をしようとした伊織が千紗に手伝いを頼んで、言葉が省略されまくっているせいでケバ子と耕平に誤解されるシーンとかもめっちゃ好き。

実写版「ぐらんぶる」がネアカ離島ホラーだって話は既にしましたが、そんな閉鎖的な舞台の中で同じ境遇になった伊織と耕平の関係性が原作よりも強調されていたように思えます。終盤のネタバレにも繋がるけど、彼らほぼ「運命共同体」だもんな。拳を突き合わせるシーンとか最高に良かった。

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