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明姫短文的な何か

uraraiへのお題は『「遠慮がちに、両手を握り締める」キーワードは「朝」』です。

カッとなったら明姫っぽい何かが出来てた。


続き

「あ、おはよー姫路さん」
「おはようございます明久君。今日は早いんですね」
「うん、鉄人に朝から電話で呼び出されてね……」

雑巾を絞りながら朝の事を思い出す。こんなことなら電気が切れたことにして電話線を抜いておくべきだった。鉄人は確か僕の携帯番号までは知らないはずだからそうすれば朝の惰眠をむさぼれたのに……!

「手、赤くなってますよ」

鈴を転がすような姫路さんの声とともに、僕の手が突然暖かいぬくもりに包まれる。慌てて視線を下にやると、姫路さんが僕の手を両手で握りしめていた。

「ひ、姫路さんっ!?今僕の手雑巾絞ったばかりで冷たいし汚いから」
「風邪が流行ってるみたいですから、身体を冷やしすぎないように気を付けてくださいね?」

僕の言葉を遮った姫路さんがにっこり笑って手を離す。混乱する僕を置いて姫路さんはさっさと教室に行ってしまった。

「……風邪よりも前に、心臓がバクバク言いすぎで破裂する心配をしないと駄目な気がするよ、姫路さん……」

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